ましんがゼロ

このキャッチコピー、何かと似てると思いませんか?

マシンガーZです。厚労省が2017年夏に海外渡航者向けの麻しん予防啓発のために作成したポスターです。どこかで見かけた人もいるかもしれません。2015年3月の麻しん排除認定を受けてから徐々に麻しんの報告数が増えてきた時期でした。それから現在まで続いており、終息の様子が見られません。

風しんは昨日書いたように対策が始まりました。麻しんは?と言うと忘れられているようにも見えますが、風しん対策で用いるワクチンはMRワクチンのため、接種した人は麻しんの免疫も獲得することができるのです(Mはmeasles麻しん、Rはrubella風しんで、麻しん風しん混合生ワクチンをMRワクチンと言う)。風しんの免疫がない人は麻しんの免疫のない人も多いため、この施策で両疾患に対する免疫を獲得することができます。

ただ、接種していても接種した際に免疫獲得できなかった人や免疫が低下した人が国内流行が起こると罹患することもままあります。現に、厚労省感染症発生動向ではワクチン未接種者や不明の患者報告が多いものの、1回接種者や2回接種の人も報告されています。接種して免疫があると他者への感染力は弱く、他の人への感染が限定的であることもわかっていますので、感染拡大防止には寄与します。

麻しんは感染力が強く、空気感染する感染症のため、発症者がいたらすぐに対応しなければなりません。「1例出たらすぐ対応」なのです。これまで空港や学校などでおきた事例が詳細まで報告されていますが、感染者の事細かな動向まで発表されるのに驚きませんか?どこに立ち寄って、それは何分くらいで、どの人と接触した可能性があるのか…全て公開されて、接触の可能性がある人は対処しなければなりません。ただし接触したけれどワクチンを2回接種していた記録があれば感染の可能性は低くなり、長期にわたる自宅待機や外部との接触を避けるということにはなりません。

このように2回の接種記録があれば、どこかで麻しん発生に出くわした場合でも慌てずに済むのです。

先の感染研の発生動向調査では海外のどこで感染したかも出ています。フィリピン、ベトナム、タイと夏休みに多くの人が訪れる国がみられます。他国も同じように予防接種施策ができているとは限りません。他にもフィリピンでは新しいデング熱ワクチンを定期接種にしましたが、デング熱に免疫のない子がワクチン接種によって免疫を獲得し、その後デング熱に感染すると重症化する可能性が高まるということで発売中止になったのを機に他のワクチンも接種しないということが起きています。そのような影響が麻しんに及んでいることも否めません。

流行地の情報を入手すること、マシンガーZのポスターにあるように海外に行く前に接種、帰国後も体調がすぐれない時はまずは病院に電話です。

感染してしまっても拡大させないこと、これもとても大事なことです。