集団接種について(続き)

「集団接種」はメリットばかりと思うかもしれませんが、そうではないため1994年予防接種法改正時に「個別接種」に移っていきました。

ある程度の強制力をもった「集団接種」により各種感染症は減少しました。そうなると予防接種後の副反応や集団接種時の事故(間違い)が問題となっていったのです。集団接種は一斉に人が集中して接種を行うため、接種前の予診が十分に行えないことが一因ではないか、とのことで個人の健康状態をあらかじめ把握できるよう、予診に”より”注力できる「個別接種」方式を基本とすることになったのです。予診票に当日や過去のご自分の様態をチェックしますよね?そして、医師による診察と予防接種の説明を受けて、同意したうえで接種が行われます。これらを実施するには「集団接種」では難しかったのです。しかも相手は子どもたちですから、なおさらです。

一方、企業での集団接種は言葉や文章を理解できる大人が対象となりますので、予診の時間はそこまで必要ではありません。順番を待っている間に説明書を読むことも可能です。そのような対応を取れば企業での集団接種は問題なく行えます。何のために接種するのか、効果はどのようなものか、接種後に起こり得ることは何か、など疑問点をなくしたうえで接種することが大事になってきます。もし、勉強が足りないというのであれば、レクチャーの時間を設けても良いのです。

予防接種は個人を守るものでありますが、集団や地域を守ることにもつながりますので、自分1人だけがしても周りへの影響力は少ししかありません。社会防衛というのは今の世にも通ずることです。次の世代にもつなげていくためには、ご自分が予防接種の意義を理解して接種に臨んで欲しいと思う今日この頃です。