英国での”麻疹排除認定”取り消し

世界を見渡しても麻疹の流行が続いている。東南アジアなど接種率が低い地域だけではない。

英国では2017年にWHOから麻疹排除認定を受けたが、2018年には麻疹報告数が1,000人を超え、同じタイプの麻疹ウイルス(B3ダブリン)による流行が12ヵ月以上続いていることから、排除されているとみなすことはできず、20198月、麻疹が再び国内で伝播していると判断されてしまった。麻しん排除国の認定がなくなったということだ。

流行はどこで起きているのか。

小児期にワクチン接種をしていない若年層、成人が中心だという。2018年の英国の1回目接種率は95.2%、2回目は87.8%。接種率のわずかな減少でも影響を与える可能性があり、2回接種をしていない人、流行国に旅行する人の感染リスクは高まる(英国の予防接種スケジュールでは1回目:1歳、2回目:34か月にMMRワクチン接種)。

英国では対策として接種率を上げて維持すること、接種を確実にするために10歳と11歳のMMRワクチン接種の確認をかかりつけ医が実施することを新たに契約に加えたそうだ。保健省と国とが一体となって戦略を取り、早急に感染拡大を食い止めようとしている。

日本に目を移すと、日本でも麻疹の流行は終息していない。同じウイルスタイプの検出が続いておらず複数あるが、その中でもD8は数年検出が続いており、このタイプが定着してしまうと認定が取り消さされる可能性も否めない。それでなくともインドネシアなど海外旅行から帰ってきて国内で発症し散発流行している事例は後を絶たない。

これから国際的なイベントが続いていく中で、この英国のようなことが起こりかねない。20153月に麻疹排除認定を受けた日本でも接種率の維持をうたっているが、2回目接種率は英国よりは高いものの、95%を達成していない状況が続いている。

自分には感染しない、麻疹は昔のもの。

これまで予防接種の恩恵を受けてきたのにそれが当然になってしまって、予防接種を受けていたからこそ起きていないということを忘れてはいないだろうか?このような状況で流行国からの渡航者、国内流行しているところに麻疹の免疫をもっていない渡航者が感染してしまう、そんな状況が見えてくる。

<参考:英国保健省https://www.gov.uk/government/publications/measles-and-rubella-elimination-uk/uk-measles-and-rubella-elimination#fnref:4:1