集団接種は過去のこと?

「集団接種」と聞いてピンとくる方は、ご自分が学校で予防接種の列に並んでいた頃のことを思い出したか、自分の子どもにBCGの接種に保健所へ行ったかではないかと思います。

最近では「企業での集団接種」も増えてきており、それを思い出した方もいるかもしれません。冬場のインフルエンザワクチン接種や、風しんの流行を受け全社員に風しん含有ワクチンの接種を行うところなどがあり、費用補助とは少し異なります。

「え!? うちの会社もやって欲しい!」と思われた方もいるかもしれません。予防接種を受けにいくために土日や勤務中を使うのはなかなかハードルが高いかと思いますが、会社で実施されれば一日のスケジュールを調整して行くことができ、ハードルは下がります。多くの会社で実施されればもっと接種率の向上も期待できます。

そもそも集団接種は長らく日本では実施されていた予防接種の接種方式です。1948年に予防接種法が制定されてから、ある特定の日時・場所で集団を対象として行われており、これは1994年の予防接種法改正まで続きました。その後もBCGワクチンでは地域によっては最近まで(現在も)集団接種は行われていました。

なぜ、集団接種だったのか。これには戦争も関わってきます。戦後の日本は各種感染症が蔓延し、死亡者も多く出ていました。これでは日本の社会が立ち行かなくなるため、感染症対策として予防接種の実施が始まりました。社会防衛のためです。それには健康意識・予防接種の知識のある人ない人がいる中で、多くの人に一斉に行うにはある程度の強制力も必要であったため、予防接種を受けることは義務とし、集団接種という方式がとられたのです。

今のこのご時世での企業における「集団接種」は強制力を目的としたものではなく、社員の健康を維持するために有用な手段、感染症対策が社員だけでなくその家族まで守ることになる、こういったことが目的となっています。 つづく・・・